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さて、課題曲への作詞も3曲目。
今回は、短いながらも美しいメロディのミディアムテンポのナンバー。
尺が短いだけに、無駄な表現を省き、表現したいテーマを凝縮して言葉に託したいところです。
今回も、たぶん根っからのバンドマン(?)、沢村さんの歌詞に行ったレビューの一部をご紹介します。
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恋はすばやく愛はゆっくりと
※原題:Sunset
作詞:沢村正一
作曲:田村信二
1A)
午前4時の街 二人寄り添って
パーティーを抜け出して はじめてのキス
1B) ↓複数の読み方があるワードは要ふりがな
恋はすばやく 夜(よる)を染めてく
君のコート 包ま/れたまま ←音節の切れ目変えたい
1C)
まだ誰も知らない 雪を見てた
2A)
あれから1年 同じ屋根の下
飲みかけの紅茶(こうちゃ)と シャツの匂い
2B)
愛はゆっくり 夜(よる)に染み込む
君の胸に 抱きし/められて ←音節の切れ目変えたい
2C)
なんとなくつけてた テレビ見てた
3B)
恋はすばやく 愛はゆっくり ←1番、2番のサビ頭もこのフレーズで!
夜の中に 滑り込んでく
3C)
わたしだけ知ってる 君を見てる
【総評】
曲の構成の解釈に関して言うと、解釈が三者三様でした。
作曲者が譜面上で指定したものは絶対的真実ですが、それ以外の場合は、作詞家の判断任せというところはあります。この曲の場合は、洋楽によくある「A-B-A-B」という解釈が無難で、この作品で言うと、CはB(サビ)の一部という解釈で良いかと思います。
■印象
▼生活感のある描写はさすがですが、採点するなら、少々厳しめですが、55点くらいでしょうか。
■修正希望点
▼この曲に関しては、尺の短さというハードルがありますので、リライトする際は、3番の歌詞をAメロも含めてフルコーラスの長さにしてください。
▼サビに関しては前作ほどの完成度はなかったですが、以下のとおり、底上げは可能です。
サビの1行目を展開させるのではなく、3Bの1行目のフレーズをすべてのサビに使い、企画書にある「なんてことのない日常だけどかけがえのない日々」のニュアンスを反映したフレーズをうまく絡めてサビを再構成してください。
要は、テーマを象徴したタイトルとほぼ同じフレーズを、1番2番と展開させてしまうと、1番のサビを聴いた時と2番のサビを聴いた時で違う歌のように聴こえてしまうという可能性も出てきます。そうではなく、歌詞全体のテーマを集約したサビを作ることで、歌詞のテーマがより明快にリスナーに伝わるようになります。
※ぶっちゃけ、修正後に同じサビを3回繰り返せるなら、ハードルをクリアできた証明かと思います。
▼ラブソングの歌詞にあればリアリティの向上につながる、以下のような要素を(例えばCの箇所に)入れてみてください。
・彼女から見た彼の魅力はどこなのか?
・どこに惹かれて、彼と恋に落ちたのか?
リライト後の再提出を楽しみにしています!
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レビューを終えた後、4曲目の課題曲を試聴していただき、歌詞の企画を練ってもらいました。
今度の曲は少々の寂寥感もあるバラード。
爽塾では、歌詞の企画を立てる際、ひとつの仮定として「どんなシンガー、アーティストが歌うのか?」を決めてもらっていますが、寂しげなメロディ、悲しげな楽曲であったとしても、歌い手の魅力が引き立つ、ファンの共感を呼ぶ歌詞に仕上げてほしいところです。
受講生の皆さんの新作を楽しみに待ちたいと思います。
Power to The Songs!
歌に力を!
2曲目の課題曲は、弾むようなポップナンバー。生徒さんたちからどんな歌詞が提案されるか、楽しみにしていました。
開講前のカウンセリングの際、このクールの受講生の中では作詞の経験値がある沢村さんは「ふだんは男性ボーカルのバンドで作詞をしているので、違う世界観の女性用の歌詞を書きたい!」と言っていただけに、期待感はなおさら。
どんな歌詞が提出されたかと言うと、「アイドル・ポップス」になるのが自然に思える曲調に対して「アイドル」という正攻法のタイトル。読む進めると、「ヒロインの憧れのアイドルは、応援している(アマチュア)バンドのメンバー」という、なかなか渋い設定でした。
以下、沢村さんの歌詞に行なったレビューの一部をご紹介します。
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アイドル
作詞:沢村正一
作曲:田村信二
1A)
光が闇に砕け散る 涙が頬を引き裂いて
うねる波のように 熱狂(ねっ きょう)は繰り返す ココで改行。2Aも同様
今もまだそばにいるみたいに
1B)
声と指先と ノイズ混じりのギター ココで改行。
汗の匂い 遠い雲の彼方
1C)
★いつだって夢中(むちゅう)だった あなたに夢中(むちゅう)だった
わたしのアイ ドル キラキラな衣装(いしょう)を纏って
何度(なんど)も言わせてよ 「好き」って言わせてよ
もう逢えないの 知ってるわ
2A)
彼氏の車の助手席(じょ しゅせき) 何度も聞かされたロックンロール
空は晴れるのに 想いは募るのに
あの日からあなただけいないの
2B)
今も元気かな? ギター弾いているかな? ココで改行
くわえタバコ かすむ夜の彼方
2C)
いつだって夢中(むちゅう)だった あなたに夢中(むちゅう)だった
わたしのアイドル ギラギラなスポット ライト照らされ
何度(なんど)だって言うわ 「好きです」って言うわ
楽しかった ありがとう
3C)
★Repeat
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【総評】
■印象
▼サビの完成度がグッと上がってレベルアップした感があります。以降もこれをキープしてください。
▼点数をつけると、70点くらいでしょうか。次項に記載した疑問点を底上げして80点オーバーすれば、「完成」扱いになりそうです。
■修正希望点
▼企画書に記載している以下の要素を少しでも歌詞に盛り込めたら、さらに完成度が上がるかと思います。
『永遠はないこと。大切なお知らせはある日突然やってくること。後悔なく生きなくてはならないこと』
※憧れのギタリストが他界したのでなければ、何かしらの思い出の品を歌詞に入れてみるのも一考かと。
▼赤字のように、適宜、改行する方が良いのは、右半分に余白を残したいためです。そうすることで、レコーディングの際、歌い手が余白にメモを書き込めるようになります。
▼今ひとつ描写が理解できなかった、腑に落ちなかった箇所などはレッスンにて口述しました。
要は、リスナーが「歌詞の中に描かれた情景や登場人物に関する描写などをスムーズに理解できなかったり、『?』を感じてしまうと、その時点で曲を聴くという行為から脱落してしまうため、必然性のある、よどみなく流れるようなストーリーを提示することが望ましいのです。
この作品のレビューの後、3曲目の課題曲を聴いてもらい、企画を練ってもらいました。次の課題曲は、落ち着いた感じのミディアムテンポのナンバー。たとえば、ジョン・レノンの「イマジン」のような、スタンダードになり得る普遍的的なメロディだけに、作詞家の技量が問われますね。
引き続き、リライトした歌詞の再提もお待ちしてます。3月末の受講期間終了までに、1作でも多く完成させましょう!
Power to The Songs!
歌に力を!
座学→替え歌制作というプロセスを経て、いよいよ、「田村信二さんの貴重な未発表曲に作詞をしていく」という爽塾のメインコンテンツへと進んでいきます。著作権の関係で課題曲をお聴かせできないのが残念ですが、1曲目の課題曲はゆったりとしたバラードです。
以下、生徒さんの許可を得て、歌詞とレビューの一部をご紹介します。「そもそも、作詞教室の授業って何やるの?」と思われている方はチェックしてみてくださいね。
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曖昧な偶然
作詞:沢村正一
作曲:田村信二
1A)
エキナカのカフェで 頬杖ついてる 今日も
冷めてく紅茶
黄昏の街は オレンジから青 熱を ←1Bの歌詞に繋がる要因を描きたい
塗りつぶしてゆく ←字余りでは?
1B)
夜中のCallも 突然のキスも ← Callはカタカナ表記推奨。
わたしだけが 本気にしていたみたい ずっと
1C)
曖昧な偶然 あなたが見てたものは ←1文字、字足らず?
私じゃない よく笑う子
残酷な戯言(たわごと) 「明日(あした)も会いたいな」 ←要フリガナ。
彼氏のフリ 彼女の真似
わかっていたはずなのに
2B)
愛は何回も 恋は一回も
確かなもの 何一つなかったのに ずっと
2C)
曖昧な偶然 繰り返してみても
必然には ならなかった
味のない紅茶と 色のない思い出と ←1文字、字足らず?
Callしても キスをしても
二人はずっと 偶然
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【総評】
1)印象
▼企画書では「別れ」の場面を設定していて、「片思い」というテーマも記載されているのですが、それらしき表現はなく、そこまでを描写するのに尺が足りなかったような印象です。せっかく思いついた企画ですから、リライトしつつ、完成に近づけていきましょう。
前提条件として、こちらのチェックポイントの6割程度をクリアしていれば、企画を設定した時点で皆さんの企画に優劣はありません。しかしながら、「いかにその企画を歌詞に落とし込むか?」ということが爽塾で学ぶことの意義でなので、そこに注力していきましょう。今回の課題曲で言えば、サビのメロディの盛り上がりどころがファルセットも使いつつ歌われている事実をくみ取り、例えば「別れに感じる切なさ、うまくいかなかったことへの悔しさ、悔恨」のような、感情の起伏を感じさせる表現が欲しかったです。
2)修正希望点
▼こちらの指示漏れなので申し訳なかったのですが、サビのパートはもう1回追加(計3回)して書き足してください。
▼前回に比べると、サビの強度は若干上がった感がありますがま、だまだインパクトが弱いので、「もし3回あるサビがすべて同じフレーズなら」と仮定して、テーマのすべてをそこに集約するイメージでサビを再考するといいかもしれません。
リスナー目線でもっと知りたい、聴きたい内容を挙げてみると、
※偶然出会ったふたりは、どこでどんな風に出会ったのか?
※片思いだったヒロインは、相手のどこに惹かれていたのか?
※うまくいかなかった原因は何なのか? どこでどう歯車が狂って、それをどう捉えているのか?
※「形だけの恋愛ごっこはもうやめよう」と思い至ったきっかけ、要因は何なのか?
※この関係を終わらせて、ヒロインはどうしたいのか? 恋愛に至らず終わってしまった、この関係はどんな位置付けなのか?
▼テキストに記載がないですが、ポップソングの宿命、命題として、「できる限り、歌い手を魅力的に見せる」ということがあります。この作品に当てはめてみると、無理にハッピーエンドにしろとか、無理にポジティブなラストにしろということではなく、「あぁ、こういうことってあるよね」的な共感をリスナーの心に喚起させることができれば望ましいので、そこを目指しましょう。
その他、いくつか参考になるヒット曲の歌詞などもご紹介しました。
次回取り組む課題曲は楽しげなアイドルポップスなので、「男性ボーカルの自分のバンドでは男くさい歌詞にせざるを得ないので、まったく別ジャンルにトライしたい」とおっしゃっていた沢村さんの念願がかないますね! 今回講評した「曖昧な偶然」のリライトも折を見て取り組んでみてください。再提出、待ってます!
Power to The Songs!
歌に力を!
5回目のレッスンでは、前回の課題「替え歌制作」の講評を行いました。
ご自分のバンドの作詞担当である沢村さんはさすがに書き慣れてますね。
今回は歌詞そのものは公開しませんが、主にアドバイスした点は以下のとおりです。
【総評】
■印象
・全般に生活感のある大人の恋を描く描写についてはさすがのクオリティでした。
■修正希望点
・今後の課題として、タイトルを効かせること、覚えやすさ、歌いやすさの観点からサビの完成度を上げることに注力してください。
・歌詞の中で「花」を小道具に使う際は、開花時期、色合い、花言葉に留意してください。
今回の歌詞ではいずれも事実と歌詞の内容がフィットしていないように思われます。
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講評を行った後、いよいよ取りかかる課題曲の歌詞制作の1曲目のデモを30分ほどリピート視聴していただき、どんな歌詞にするのかを発表してもらいました。
歌詞の仕上がりが楽しみですね。ワクワクします。
Power to The Songs!
歌に力を!
※写真は、所沢駅東口ロータリーに鎮座するトトロさま。
人知れず、ひっそりといった風情ですが、お気に入りスポットです。
数年ぶりのブランクを経て、活動を再開した「作詞教室・爽塾」。
こんにちは! 作詞家の吉里爽( @sowyoshizato )です。
下北沢にて、大人のための作詞教室・爽塾 (@sowjuku )のセッションでした。諸般の事情により、3度目と4度目のセッションを1度で行うというハードスケジュール。いつもより、少し早口になっていたかもしれません。
まず、訳あって厚くはないテキストの最後の部分、「作詞の実際」についてのお話。
以下のような内容(一部抜粋)をお伝えしました。
◆サビの作り方
◆Aメロの歌詞
◆Bメロの歌詞
◆2番以降の展開
◆タイトルについて
◆グレードアップのための工夫あれこれ
◆チェックとリライト
◆表記上のルール
その後、今回の課題となる「替え歌作り」について、これを行うメリットや企画の立て方のヒントなどをざっとプレゼンして、企画立案を30分の制限時間の中でトライしてもらいました。「あらかじめ、選んでおいて」と伝えておいたのですが、教材のCD「442」からホリタさんが選んだ曲は、ミディアムテンポの「Lupinus」でした。
ジャスト30分の沈思黙考のすえ、彼が発表してくれた歌詞のコンセプトは、「友達づきあいしている男性に対して高まっていく恋心に悩む女性の心情」というもの。原曲の「かつての恋人に再会して、忘れていた気持ちが再燃して・・・」という歌詞と 比べると、同じ女性の恋心でもステージが違う感じ。「Lupinus」のヒロインが復活愛を信じてポジティブな気持ちでいるのとは違って、かなり悩ましい感じです。とはいえ、こちらが期待していたとおりの情報量で企画を立ててくれたのはさすが。
次回のセッションでは、彼の第1作を添削することになります。楽しみです!
■課題について
1)内容:発表した企画に沿って、「Lupinus」の替え歌の歌詞を書き、メールにて提出のこと。
2)〆切:2018年06月06日23時
ということで、頭を悩ませつつ、次回以降にトライしてもらう課題曲の最終選考に決着をつけなければなりません。「中島みゆきさんのファン」という生徒さんの好みも考慮して選ぼう」と試みて逡巡の無限ループに陥っていたのですが、彼が替え歌作りに選んだ曲が「Lupinus」だったことから、悩んでいたシークエンス(曲順)にも決着がつきそう。
ちなみに、爽塾で使う課題曲はいずれも田村信二さん作曲で、いつヒットしてもおかしくないクオリティです。