爽塾ブログ

私こと吉里颯洋がオンライン・レッスンで行っている「作詞教室・爽塾」。

2023年後期の4回目のレッスンレポートをお届けします。

 

前回のレッスンでは、「作詞法(2) 〜作詞の実際〜」と題して、「サビ」や「Aメロ」といったパート別に実際の歌詞の書き方をレクチャーしました。

もちろん、1回話を聞いてすぐにマスターできるほど、作詞はたやすいものではありません。上達には、生徒さんご自身が実際に作詞の実践経験を積み、作品を完成させるための試行錯誤(リライト)を粘り強く続けていくことが何より大切。その道程をサポートしながら、上達への最短距離を並走していくのが、爽塾の役割だと考えています。

そんな思いも込めつつ、今回のレッスンでは、2時限目に元々のカリキュラムにはないスペシャル・メニューを実施しました。

 

1限目の内容は・・・

当初の予定が変わったため、2限目に行う予定だった歌詞の講評を繰り上げて、1限目に行いました。

リライトを重ねた歌詞は、既に「バージョン06」。完成まであと少しのところまで来ています。

前回のレッスンの際、印象度、インパクトが底上げをねらってサビの1行目の後半を英語のフレーズに言い換えることをアドバイスしていました。自分の頭の中にあったフレーズは、「JUST LIKE A SWEET LITTLE CHERRY」というもの。実際、同じ箇所のメロディに対して生徒さんが書いてきたフレーズは、「かわいいSWEET CHERRY」でしたが、メロディとのフィット感を向上させ、いわゆる「グルーヴ」を良くするために、「LITTLE」というワードを1語追加して「かわいいSWEET LITTLE CHERRY」と修正しました。

その他、今回のリライトで向上したポイントは、2番のサビの最後の行で「ねぇ その胸に抱きしめて」と歌われているフレーズが3番のサビの同じ箇所では「ねぇ 幸せを始めよう」という表現になっていること。「ハッピーなラブソング」のストーリーの中でも、ヒロインの気持ちが少しずつ前進していくさまが的確に描かれているところに成長が感じられたのは良かったですね。他の箇所に比べてクオリティが今ひとつな箇所については、さらなる底上げを要請して、今回のレビューは終了となりました。

完成した歌詞は当ブログにて公開予定です。

 

2限目の内容は・・・

生徒さんの成長とこれまでの音楽体験も踏まえ、思いついた特別レッスンの内容は「年末年始の時間がある時に触れてほしい名盤紹介」ということでした。すぐれたソングライターがどんなテーマをどう表現してリスナーに支持されてきたのか?リリースされてから年月が経っても歌い継がれるスタンダード・ナンバーの普遍性とは、一体何なのか? たとえプロ志向でなくても、それらを数多く味合うことは、成長のための大きな糧になります。そうした思いから、ぜひ聴いて欲しい名盤の数々をお伝えしました。その一部をご紹介します。

松本隆さん


 

 

 

 

A LONG VACATION / 大滝詠一

 

 

 


Candy / 松田聖子

 

 

 


風立ちぬ / 松田聖子


竹内まりやさん
  

 

 

 


REQUEST  / 竹内まりや


 

 

 


Variety  / 竹内まりや


 

 

 


Quiet Life / 竹内まりや

生徒さんがサブスクのアカウントを作ったこともあって、他にも、浜田省吾さんのコンピレーション・アルバム、JUJUさんのカヴァー・アルバム、リンダ・ロンシュタットが歌うスタンダード・ジャズのアルバムなどもお勧めして特別レッスンは終了。

課題制作については、「世界観が違う歌詞を同じ期間にリライトするのは大変!」という声もあったので、「『替え歌制作』の課題で書きかけの歌詞は、今回のレッスンでレビューを行った歌詞の続編という仮定で書いてみては?」という提案をしました。「それは名案かも!」とその場では盛り上がりましたが、果たして成果のほどはいかに? 力作の提出を楽しみに待ちたいと思います。

さて、次回のレッスンからは、いよいよ新しい課題曲にチャレンジしていくことになります。前期から継続受講の生徒さんには5曲目の課題曲となります。まるで魔法使いのように、さまざまな曲調で素晴らしいメロディを紡ぎ出す田村信二さんの名曲との出会いで、生徒さんのモチベーションがさらに上がるとうれしいです。

Power to The Songs !


歌に力を! 

 

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私こと吉里颯洋が主宰し、オンライン・レッスンを行っている「作詞教室・爽塾」。

2023年後期の3回目のレッスンレポートを、生徒さんの声も交えながらお届けします。

前回のレッスンのカリキュラムは、「作詞法(1) 〜作詞概論、企画・着想〜」という内容で、曲先作詞のノウハウについて学ぶ座学の初回でした。歌詞とは何か?というトピックに始まり、何もないところから曲を聴いたその場でゼロイチで歌詞の企画を立てて、形にしていくプロセスについて駆け足でお話しました。

それに続く、今回のレッスンでは、「作詞法(2) 〜作詞の実際〜」と題して、よりハウトゥー的な内容にふれていきました。

1限目の内容は・・・

1)サビの歌詞の作り方

2)A メロの歌詞の作り方

3)B メロの歌詞の作り方

4)その他のパートについて

5)2 番以降への展開について

6)タイトルの重要性

7)グレードアップのための工夫あれこれ

とまぁ、レクチャーした内容についてざっと項目を挙げてみましたが、かなり濃ゆい内容です。短時間に多くのことをお伝えしているので、「消化不良にならなかっただろうか?」と今更ながら心配になりますが、熱心にノートを取りながら受講している生徒さんの理解力を信じるのみです。

1)については、「インパクトがあって覚えやすいサビを作りましょうと「言うは易し、行うは難し」なので、具体的にどうすればそれが実現できるのかを噛み砕いて解説。プロであっても決してたやすくはない「歌詞のコアづくり」について、自分史上マックスの熱意でお伝えしたつもりですが、どれくらい届いたでしょうか? このタームが終わるまで、幾度か、いやかなりの頻度で同じことを言うことになるかもしれませんが、「あぁ、耳タコ!」と思わずに、「これは指導ではなく、ディレクション(プロデューサーからの修正指示)なのだ」と思ってくださいね(笑)。実際、そのつもりでやってますから!

その他、熱を入れてレクチャーしたのは、「2)A メロの歌詞の作り方」「5)2 番以降への展開について」「6)タイトルの重要性」あたりでしょうか。

5)でふれた「ストーリー・テリング」という手法については、日本におけるそのスタイルの名手として、小山卓治さん、浜田省吾さんの作風にも言及。併せて、さまざまなスタイルの歌詞に触れるため、サブスクのアカウントを取得して、常日頃から洋楽を含めてさまざまなポップ・ミュージックにふれていくことをおすすめしました。

7)については、実際に生徒さんが完成させた歌詞「誓いの指輪」で効果的に使われていたテクニックを例に挙げて説明したので、「意識はしなかったけれど、こういうことか」と腑に落ちてくれていると良いのですが。

ということで、先日のブログを書いていて新たに思いついたポイントをテキストに加筆修正のうえ、改訂したテキストをレッスン後に生徒さんに送りました。こういうことができるのは、オンラインレッスンならではのメリットですね。

2限目の内容は・・・

休憩をはさんだ2限目は、4度目の提出になる歌詞の講評を行いました。

再提出の度に新たに修正した箇所を指定の文字色に変更してもらっているため、「ヴァージョン5」ともなると、歌詞のテキストが色とりどりになり、生徒さんの挫けぬ姿勢を反映するかのように見映えも美しいです。かくいう私も決め打ちの案件で20回以上のリライトを経験しましたから、歌詞をリライトするのは恥ずかしいことでも何でもありません。リライトする度に歌詞が成長すれば、それで良いのです。生徒さんはこういう体験は初めてかと思うので、未知の領域に踏み込んで真摯な努力を重ねている自分をほめてあげてくださいね。

リライト中の歌詞は完成後に公開予定ですが、修正したポイントとその背景について、いくつか記しておきます。

▼タイトルの改題について

タイトルに込められた意味は理解できるのですが、タイトルがそのままの形で歌詞の中に登場しないため、「1語のみで英文表記(アルファベット)」に変更することを推奨しました。

▼サビの1行目の後半を「英語のフレーズ推奨」としたのは・・・

現状のサビのフレーズがキャッチーさの点で今ひとつだったため、聴いた印象、視覚的の両面において、印象度の強いフレーズが必要と思ったからです。「英語のフレーズ抜き」でも底上げできる別案があれば、その方向で修正しても構わないのですが、「英語のフレーズ多めで」という発注内容も少なくはない昨今のJ-POPの歌詞の現況も鑑みれば、「必要に応じて、適切かつキャッチーな英語のフレーズが紡ぎ出せる」スキルも身につけておいて損はないため、そのようにディレクションしました。もっとも、それを達成するには洋楽を聴いてフレーズのストックを貯めておく必要があるため、洋楽に馴染みがない生徒さんはまずはそこからスタートですね。

▼3番のサビを2番に移動したのは・・・

「企画段階で考案した歌詞のプランは100%実現できずともOK」と常々言っていますが、この歌詞においては「恋愛には少々奥手の30代の女性が久しぶりの恋愛にときめき、ドキドキする様子」が当初のプランだった訳ですが、「年齢の割に可憐な乙女のような」キャラクターの描写が難易度が高く、ストーリーの前後の繋がりを重視して、現行のフレーズを活かしつつ、歌詞の完成を優先して、そのようにディレクションしました。当初、描きたいと思ったストーリーが文字数の関係などで描ききれなければ、妥協できるポイントを探って、当初のプランが多少変わったとしても歌詞を完成させることも大切。その辺りの微調整のテクニックは少しずつ身に付けてもらえればと思います。

こんな感じで2限目が終了。

少し時間が余ったので、作詞よもやま話を少々。

以下に生徒さんのコメントをご紹介します。

次回のレッスンでは、半年前に途中まで作りかけた教材のCDに収録された楽曲の替え歌、今回レビューした歌詞も仕上がると弾みがつきますね!提出を楽しみに待ちたいと思います。


Power to The Songs !


歌に力を! 

※山手線の新大久保駅から見える某楽器店のビルボートに憧れのブルーズマンの姿を見つけて、少々気持ちがアガりました(笑)。

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私こと吉里颯洋がオンライン・レッスンで行っている「作詞教室・爽塾」。

2023年後期の2回目のレッスンレポートを、生徒さんの声も交えながらお届けします。

オリエンテーションを行った前回の最初のレッスンでは、生徒さんの現状を把握しつつ、半年間の目標を設定しました。

今回のレッスンのカリキュラムは、「作詞法(1) 〜作詞概論、企画・着想〜」という内容で、曲先作詞のノウハウについて学んでいただく座学の初回。前のタームから継続受講している方は半年前とほぼ同じお話を聞くことになってしまいますが、ここはあえて、ベーシックなスキル確認の意味も含めて同じお話をすることにしました。

1限目の内容は・・・

まずは、実際の作詞に取り組む前に知っておきたい要素を簡潔にまとめたテキストに添って、作詞とはどんな行為なのか、歌詞がどのように成り立っているのかという概論をお話ししていきました。主な項目は以下のとおりです。

・名曲の条件とは? 〜ビギナーでもココをめざそう!〜
・ポエムと歌詞の違い
・詞先作詞と曲先作詞の違い
・曲先作詞のプロセス

次にお話ししたのは「着想から企画へ」というテーマで、ゼロから企画を立てて歌詞を書く際のあれこれについて。

爽塾で学ぶメリットである「初めて曲を聴いたその場で、どんな歌詞を書くかを30分で決める」という独自のメソッドについて、この春スタートのタームからカリキュラムをアップデートしました。具体的には、生徒さんがレッスンで考えた歌詞の企画を発表しておしまい、ではなく、講師の私がコンサルティングを行う要領で生徒さんと話し合いながら、歌詞のコンセプト(企画)をよりしっかりとしたものに仕上げていくスタイルに変更しました。これにより、歌詞のコンセプトのツッコミどころが少なくなり、歌詞を書き始めてから書き上げるまでに生徒さんが「中途で投げ出す」ことはほぼなくなったかと思います。

 

2限目の内容は・・・

前のタームから継続受講している生徒さんがリライトを繰り返しながら取り組んでいる歌詞の講評を行いました。

おめでたいことに、3度目の提出にして、「誓いの指輪」という歌詞が完成。リライトされた箇所がどのように向上したのかを解説していきました。進歩の度合いが予想以上だったのは本当にうれしかったです。生徒さんの成長を目の当たりにすると、教えるこちらも得も言われぬやりがいや達成感がありますね。

大切なのは、今回のリライトで学んだことを他の作品にも応用していくこと。そうすることで、成長のスピードが格段に上がっていきます。これに満足せず、どんどん歌詞を仕上げて欲しいですね。半年なんてあっという間ですから。


以下にレッスン後の生徒さんのコメントをご紹介します。


次回の3回目のレッスンでは、「作詞の実際」というテーマで、作詞のハウトゥー的なカリキュラムに進んでいきます。
リライトされた歌詞の提出も楽しみです!

Power to The Songs !


歌に力を!

 

※画像は、「ゴジラ-1.0」の上映開始に盛り上がる(?)新宿歌舞伎町の街並み。筆者は新宿育ちなので、歌詞の中の「ストリート」というワードに対して、新宿の街並みを思い浮かべることもしばしば。

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レッスンの中から生まれた受講生の作品をご紹介します。

2回のリライトの末に完成した歌詞と、最初に書いた初稿を併せて掲載します。

 

誓いの指輪(完成版)

作詞:kotonoha
作曲:田村信二

1A)
 あの夜(よる)のプロポーズ ごめんね 側に寄り添えなくて
     
1A')
 病(やまい)がちな父をひとり 残して行けない 分かってね  

1B)
 誓(ちか)いの指輪握りしめて また抱きしめ合うその日を待つわ
 遠く離れても愛している この指輪はつけたままで「おやすみ・・・」 
               

2A)
 さよならは言わないの あなたをずっと想ってるから
  
2A')
 「ついてゆく」と言えなくても うなずく瞳が愛おしい 
 
2B)
 誓(ちか)いの指輪外さないわ その大きな夢叶えてほしい 
   たとえ離れても祈っている だから今は遠い空に「おやすみ・・・」
  

3B)
 誓(ちか)いの指輪今日も光り あなたのぬくもりいつも感じてる 
 遠く離れても愛している この指輪はつけたままで「おやすみ・・・」
  

たとえ遠く離れても(初稿)

作詞:kotonoha
作曲:田村信二

1A)
 さよならは言わないわ どれだけ距離が離れていても
  
1A')
 海を超えて行けないけど その夢ここから感じてる 

1B)
 時が過ぎていつかふたり また隣に立つその日が来るわ 
 遠く離れても愛している この指輪はつけたままで「おやすみ」
  

2A)
 あの夜のプロポーズ ふたりで見てる最後の海を
  
2A')
 「ついて行く」と言えなくても うなずく瞳が愛おしい
  
2B)
 かけがえない父と母と 大切にしたい私の時間 
 遠く離れても信じている だから今は遠い空に「おやすみ」 


3B)
 時が経てばきっとふたり また同じ夜を過ごせる だから 
 遠く離れても愛している この指輪はつけたままで「おやすみ」
 

解説

▼田村信二さん作曲の課題曲はミディアムテンポの美しいメロディで、どちらかと言えば歌謡曲テイストのある楽曲でした。このストーリーが生まれたのも、素晴らしいメロディがあればこそ。改めて、田村さんに感謝です!

▼海外赴任する恋人にプロポーズされるも病気がちの父親を残して着いて行けないヒロインの悩ましい恋心を、音数少ない楽曲に乗せてよくぞ描ききったと思います。がんばりましたね!生徒さんに拍手!

▼初稿からアップグレードできたのは、主に以下のポイント。
 ・タイトルがキャッチーになり、印象度が向上。それを含めたサビの歌詞のクオリティがアップし、インパクトのあるサビにレヴェルアップ。
 ・初稿では描け切れなかった「父の体調不良」が完成版では描けています。

▼思う存分、プロ作曲家とコラボできる受講期間のうちに実力をさらに伸ばして欲しいところ。この作品を完成させるまでに学んだことを、その他の作品のリライトやこれから書く作品にも活かすことが大切です。これに満足せず、さらなる前進を!




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諸事情あって、週末コースが休講となり、このタームは久しぶりに平日コースのみの開催となりました。

初回のレッスンの様子を一部抜粋してお届けします。

 

1限目の内容は・・・

まずは、爽塾ならではの特徴を軽くプレゼンしました。

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1)4 名以下の少人数制
2)実力派コンポーザー・田村信二さんの楽曲を課題曲として使用 
3)メロディに対して最適な歌詞を企画、着想する力を伸ばします 
4)期間中、複数回にわたって作品の講評を行います 
5)進みたい方向性に合わせた指導
6)体験レコーディングについて 
7)成績優秀者は、活動開始予定のレーベルの楽曲制作に参加することも可能

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2)の『課題曲はすべて田村信二さん作曲』であることのメリットについては、「爽塾」で初めて作詞に取り組む生徒さんの場合、比較の対象がないため、そう言われてもピンとこないのですが、先々、カリキュラムの終了後にアマチュアの作曲家とコラボした時に「やっぱり、プロ作曲家の田村さんのメロディってレベルが高かったんだなぁ」と気づくことが多いのです。また、ふだんアマチュアの方が作曲した曲に作詞をしている生徒さんに感想を尋ねると、「プロの方の曲は、一味違うものですね」とよく言われます。

3)の『歌詞を書くための企画力アップ』については、前のタームから継続受講している生徒さんが抜群のスキルの持ち主なので、「歴代の受講生の中でも、企画力に関しては屈指のクオリティ」である旨をお伝えしました。現状の課題は「立てた企画をいかに歌詞に落とし込むのか?」ということに尽きますが、課題曲との格闘を積み重ねるうちに、自分の思考が陥りがちなパターンが見えてきますから、その都度、引き出しを増やすつもりで対応していくことでスキルアップが楽しくなってくるはずです。

6)の「体験レコーディング」についてはボーカリストの方が受講した場合のオプションで、自分が作詞した歌詞で課題曲の作曲家である田村信二さんのディレクションを受けつつレコーディングができるという魅力的なもの。もちろん、すべての方には当てはまりませんが、先々、(ボーカリストではない)プロ志向の生徒さんから「コストがかかっても、売り込み用のデモを作成したい」といったリクエストがあれば、シンガーの方を手配のうえ、デモを制作することも視野に入れています。

その後に行ったのは、目標設定。

前期後期と継続受講の場合、取り組む課題曲は8曲になりますので、そのうち何曲を完成させるのかというハードルを実現可能な範囲で定めました。現在、受講している生徒さんは「未経験の状態から爽塾で作詞を始めた『ゼロイチ』」タイプなので、達成しやすい4曲を目標に設定しました。もちろん、それ以上仕上げてくれたら、うれしい限り。

ちなみに、歌詞が完成して「これでOK」と「○」を付ける基準は、以下のとおりです。

・「こういう歌詞を書きたい」と自分で設定した企画に添った歌詞になっているのか? 

・歌詞のテーマがきちんと聴き手に伝わるのか?

歌詞が完成することは一つの区切りにはなりますが、これをもってプロに近づいたとか、世に出せばすぐにヒットすることが見込めるといったハイレベルなものではありません。現実的な目標として、その歌詞がついた曲を身近な人に聴かせた際にちゃんと意図が伝わる、ライブハウスで披露して拍手がもらえる、その辺りをイメージしています。

 

2限目の内容は・・・

継続受講している生徒さんが幾度かリライトして取り組んでいる歌詞の講評を行いました。一言で言えば、アマチュアの方が誰もが陥りがちな壁に突き当たっている印象なので、その壁を突破してもらいたいところです。

考案した企画に添って言葉をセレクトして、メロディに合わせてストーリーを描くことについては習熟度が上がってきているので、その1歩先を目指して欲しく、「サビとタイトルの関連性、その強度を上げること」について、あれこれお話しました。

プロの作曲家が作る曲であれば、歌詞がついていない段階でも「Aメロで曲の世界観を語り、Bメロでさらに踏み込み、サビでテーマを語る」かのように、メロディが雄弁に何かを語っています。さらに言うと、サビのメロディの中にも強弱があり、必ず「聴かせどころ」があります。曲先作詞で大事なのは、作曲家のメロディに込めた意図を汲み取って、それにふさわしい歌詞を乗せていくこと。「伝えたいことをメロディに乗せる」だけでは不十分で、メロディの盛り上がりどころと歌詞のメッセージのコア(核)の部分が一致していなければ、テキストにある「覚えやすく歌いやすいサビ」にはならないのです。そのスキルを身に付けるのはたやすくはありませんが、わずかな曲数の課題曲に取り組む中で一度でも多く実現してほしいと願っています。

受講生の方は、テキスト12ページの「タイトルの重要性」「サビの作り方」、14ページの「グレードアップのための工夫あれこれ」の項を読み返してみてください。取り組んでいる歌詞のストーリーを描くのにメロディの音数が足りないなと感じたら、何か(?)を使うのも有効ですよ。

さて、あと数回、座学のレッスンが続きますので、継続受講の生徒さんは未完成の歌詞のリライトを追い込む絶好のチャンスですね! 良作、傑作が届くのを心待ちにしています!

Power to The Songs!

歌に力を!

※「あまちゃん」の名場面に登場する、三陸鉄道某所のトンネル。芸事全般、学ぶうちに壁にぶち当たるのは当たり前です。全力でサポートしますので、必ず突き抜けましょう!

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ついに迎えた、このタームの最終回。
今回も、生徒さんのコメントを交えて、レッスンのレポートをお届けします。

いつものレッスンと違うのは、レッスンの後に「打ち上げ」の時間があること。オンラインのため、パソコンの画面越しにあれこれお話するだけですが、もちろん、「飲食物持ち込み可」です。

さて、レッスンの内容は、前回のレッスンで企画を立てた歌詞の講評でした。
「歌詞に限らず、ハッピーエンドにならないストーリーは苦手なんです」と正直に打ち明けてくださった生徒さんが、どんな歌詞を書くのか? 大いに注目していましたが、替え歌の課題も含めれば、合計4曲の作詞にトライしてきただけに、きちんと形になっていました。
歌詞のテーマは「海外赴任する恋人に着いていきたいけれど、家庭の事情でそうはできないヒロインの切ない気持ち」といったところ。

リアリティがあって精緻な企画を歌詞に落とし込む際に突き当たるハードルについて触れつつ、
 ・印象度をアップするためのタイトルの修正、底上げ 
 ・サビの部分に書かれていた状況説明の描写はそれ以前に移動し、サビには歌詞のテーマであるヒロインの心情を描く
といったアドバイスをしました。

続いて、3度目の提出となる別の課題についても講評を行いました。
2度のリライトを経て、1番の歌詞はほぼ完成。未完成の2番のどこをどう直せば良くなるのかを具体的に指摘していきました。
このタームが始まった頃に比べて、生徒さんへのアドバイスの内容が少々厳しくなっているのは自覚していますが、それはスキルの向上に伴って生徒さんのモチベーションが上がってきたからです。

レッスンの後には、オンラインレッスンに切り替えて初めての「画面越しの打ち上げ」。
いつになく雄弁にあれこれ話した気がしますが、苦手なアルコールを飲んだ後のように話の詳細をあまり覚えていません(苦笑)。「とにかく、作詞のモチベーションが上がるような話を」と思っていたので、自分を世に出してくれた矢沢永吉さんとの出会いの話、専門学校時代のことなどを話していたような気がします。
 


なお、2023年の後期については、週末コースをお休みして、平日コースのみ、限定1名で受講生を募集をしています。 詳細は、こちらをご覧ください。


Power to The Songs!

歌に力を!



「ストーリーテリングのテクニックが絶品」とレッスンで紹介した小山卓治さんの名曲「Passing Bell」

「大人のための作詞教室・爽塾」2023年前期のレッスンも、このタームの修了まで「マジック2(残り2回)」となりました。今日から作詞に取り組む4曲目の課題曲がこのタームの最後の課題、つまりは卒業制作になります。

今回も生徒さんの声も交えつつ、レッスンのレポートをお届けします。

まず取り組んだのは、課題曲のヒアリングと企画立案、企画会議。
「こういうシーンを描きたい、こういう歌詞を書きたい」というプランはあくまでプランであって、そのすべてが歌詞に落とし込める訳ではありません。けれど、描きたい歌詞の背景にあるストーリーに齟齬があると、それは歌詞の中に「突っ込みどころ」として現出します。ですので、爽塾ではこのプロセスを重視して、「どういう歌詞を書くのかというプラン、ヴィジョンを定めてから、作詞に取りかかる」ことを徹底しています。
さて、4曲目の課題曲に選んだ楽曲は、ミディアムテンポで少し歌謡曲テイストのある、寂しげなメロディのナンバー。3曲目の課題曲は弾むようなポップなメロディだったので、あえて方向性の違う曲を選びました。
陽気なメロディにはハッピーな歌詞がふさわしく、その逆に、マイナー調の悲しいメロディには悲しいストーリーの歌詞がフィットするのは言うまでもありません。これまで課題曲に選んだ3曲には、「失恋」なり「別れ」を想起させるテイストの曲はなかったので、選曲にあたっては良いチャレンジになればという思いもありました。
このタームの受講生・Ruさんは企画を練るのが得意なタイプですが、今回は少し苦労したのか、発表してもらった歌詞のプランはいつもよりもファジーな感じ。話し合いのうえ、「恋人同士が別れたという設定なら、どういう理由があって別れたのか、その時、ふたりはどんな気持ちだったのか?」といったポイントをフィックスしていきました。
 


と、Twitterでのコメントを紹介しましたが、ふだんからRuさんは「ハッピーエンド大好きで、それ以外はちょっと……」ということは初耳でした。実際、過去に同じような嗜好だった生徒さんはいなかったため、ちょっと新鮮に感じましたね。

この場を借りて、アドバイスするなら、「ハッピーエンドが好きな自分が、もし今回の歌詞で描くべき、ハッピーではないシチュエーションに遭遇したら、どう感じるだろう?」と、歌詞の中の主人公たちに思いを馳せてみてください。「その歌詞を歌う歌い手さんが歌った時に輝けるように」というイメージを実現していく意志も大切なポイントです。

レッスンの後半は、再提出された課題③の歌詞のレビューを行いました。
詳細は割愛しますが、「新しい恋に戸惑う大人の女性の揺れる気持ち、戸惑い」を描くにあたり、ストーリーのリアリティを向上させるため、企画時に設定した季節感や固有名詞を歌詞に取り入れることを進言しました。歌詞の更なる成長を願うばかりです。

次回はいよいよ、このタームの最終回。
オンライン・レッスンながら、レッスン後にささやかな打ち上げをしようと計画しています(笑)。オンライン・レッスンに切り替えてから、こういうのは初めてなので楽しみですね。かつては、最終回のレッスンの後、場所をお借りしていた下北沢の「Brown’s Books Café」から移動して、別のお店で楽しく歓談してお別れしたことが良き思い出です。

最後のレッスンは、ハッピーエンドで終わりたいですね。いや、必ず、そうしてみせます(笑)。


Power to The Songs!

歌に力を!


かつしかFMにて。
ゲスト出演でお世話になった『ロッキンスター』のDJ、佐々木健二さんと。
自分がCDを手にしている、NOBODYの『POP GEAR』特集でした。

「大人のための作詞教室・爽塾」2023年前期のレッスンも、今日のレッスンで10回目。来月下旬の最終回まで、あと3回となりました。
今回も生徒さんの声も交えつつ、レッスンのレポートをお届けします。

図らずも「マンツーマン」スタイルのレッスンとなった、このクールのレッスンのスタートに際して、自分が定めていた「裏テーマ」があるので、そのことをちょっと記しておきます。
それは、「グループレッスンと同じ料金で、可能な限り、個人レッスンと同じクオリティのレッスンを提供する」ということでした。
カリキュラムの改訂を行ったこともあり、以前に比べると取り組む課題の数が減ったため、ひとつの作品にじっくり取り組むことができるようになりました。それに加えて、SNS上で熱心にコメントしてくれた生徒さんの情熱に応えるように、できる限りの対応もしてきましたので、ほぼそれは達成できているかと思います。
個人レッスンの場合、受講料はグループレッスンより割高にはなりますが、取り組む課題の数や課題曲の曲調などすべてのカリキュラムを生徒さんのお好みでカスタマイズすることに加え、労力を1人の生徒さんに集中するだけに指導も密になります。現在は休講中ではありますが、先々、個人レッスンも再開できればと考えています。

閑話休題。

今回のレッスンは、課題のレヴューを行う回でした。
メインに講評するのは、前回企画をまとめた最新の課題③なのですが、完成間近だった課題②の講評から先行してレヴューを行いました。
結論から言いますと、3度目の提出にして、歌詞は遂に完成!
「まったくの未経験から作詞を始めた生徒さんが、メッセージがきちんと伝わる歌詞らしい歌詞を書き上げたことは賞賛に値する」と心から思います。さらに、「今後は、完成した歌詞のクオリティを初稿の段階で実現できるよう努めてください」とエールを贈りました。完成した歌詞は、後日公開しますね。

さて、次にレヴューを行ったのは、今回のメインテーマである「課題③」の歌詞です。田村信二さん作曲のデモはご本人歌唱(!)による、弾むようなポップナンバー。
初稿の歌詞は未完成でしたので、今回は生徒さんに伝えた「精度の高い企画を歌詞に落とし込む際の注意点」の要点をちょっぴりご紹介します。

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いつも通り、企画のディテールが素晴らしいです。
楽器を弾く人なら耳慣れた表現かもしれませんが、「手癖」という言葉があります。アマチュア・ミュージシャンの場合、「こういうシチュエーションで、同じようなフレーズを弾きがち」みたいな癖があるもので、自分では気づかないうちに、マンネリに陥りがちになっていることが往々にしてあるのです。作詞にしても同様の部分はあって、多くのアマチュアの方は自分の手癖の要因が分からず、なかなかマンネリの解消法が見つからないもの。
以下の通り、企画書から読み取れる手癖を解説し、実力アップへの足掛かりとしたいと思います。

▼企画と歌詞の関係
現状のところ、企画の完成度の高さが今ひとつ歌詞に生かされていない部分があるので、以下を心がけてみましょう。

・「ストーリー」が仕上がったところで、「キーワード」を見直してみる
キーワードを多く考案することも大切ですが、優先順位を明確化するとベターです。
「このストーリーのテーマは何か?そのテーマを要約すると、どんなワードになるか?」と言う視点で、キーワードを再考してみてください。より分かりやすく言うと、こういうイメージです。
ストーリー > 歌詞のテーマ > キーワード > タイトル※今作で言うと、以下の部分をより明確に描くことで歌詞の魅力が増します。「こういう時、どうしたらいいの? 素直に飛び込めばいい?」という気持ちは、戸惑い、逡巡。
噛み砕いて言うと、描きたいシチュエーションは、「好きな人と両思いになって、ひたすらハッピーです!」ではなく、「好きな人ができて恋が始まったことはうれしいけれど、本当にうまくいくのかな?でも、ハッピーエンドをつかみたい」ということかと思うので、ヒロインの揺れる気持ちを表すには、タイトルは再考した方が良いでしょう。

・リアリティ向上ポイントを、適度に盛り込みましょう
 「実際に歌詞に入れて、リアリティ向上を」と企画書に赤字を入れた項目は、企画書に記載があるけれど、ほぼ毎回、初稿の歌詞の中には抜け落ちている要素です。
 いつもお話ししている通り、企画書と歌詞はフォーマットが異なる別物ですので、企画書のすべては歌詞に反映することはできませんが、そこを工夫していくことでリアリティがより向上して、歌詞のクオリティもアップします。

▼タイトルとサビの関係
多くのスタンダードナンバー、ヒット曲がそうであるように、タイトルはサビの適切な箇所に入れるのがベターです。
※テキスト13ページ参照

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こんな感じのアドバイスをしていきました。
以下、SNSでの生徒さんのコメントをご紹介します。

 
 

 
 

 
 

 

次回のレッスンでは、このタームでは最後の課題曲を聴きながら、歌詞のプランを練っていきます。
どんな曲を選んでも田村信二さん作曲の素晴らしいメロディではありますが、いわば「卒業制作」なのでちょっと迷いますよね。

なお、10月からのタームについては、現在受講中の生徒さんが継続して受講することもあって、キャパシティの関係から追加募集の枠は若干名となる予定です。
詳細は、9月11日までに告知いたします。

Power to The Songs!

歌に力を!

※課題曲をご提供くださっている、作曲家の田村信二さんと参加した試写会にて。このクールの生徒さんのがんばりも、田村さんにきちんとお伝えしてます。

 

このタームのレッスンも、残すところ2ヶ月。早いもので、あと4回で修了となります。

さて、9回目のレッスンは、3曲目の課題曲にどんな歌詞を書くのか、プランを練るのがメインテーマ。生徒さんの考案したアイディアをヒアリングした後、あれこれとやりとりしつつ、企画をまとめていきます。
今回の課題曲は、これまでの課題曲とは一味違って、ミディアム・テンポながら、弾むようなポップでキュートなメロディ。主旋律は作曲した田村信二さんが自ら歌っています。余談ですが、「作曲家の方が自分で歌うデモ」って昨今では意外とレアなので、とても貴重です。
約30分ほどかけて構想を練ってもらい、その内容をヒアリングしていきました。
受講生のRuさんがまとめたプランは、「海辺の街を舞台に、30代でヨガのインストラクターのような仕事をしているヘルス・コンシャスな女性が、数年ぶりに恋に落ちた時のドキドキ感、ときめきを歌詞のテーマにしたい」のとこと。
期待どおり、ポップなメロディにふさわしいテーマが提案されると、何だかうれしいですね(笑)。

爽塾では、基本的に歌詞のテーマはフリーテーマで、課題曲の曲調からイメージをふくらませる形で、生徒さんが歌詞のコンセプトを自由に決めるスタイルを採っています。時と場合によっては、「今回はクリスマスソングで」という若干の縛りを設けることもありますが、基本的にフリーテーマです。何故そうするかと言えば、プロの世界の作詞コンペのように発注内容に添って作詞をするよりも、全く何もないゼロの状態から企画を立ち上げる方がより難易度が高く、作詞の基礎体力をつけるトレーニングとして適しているからです。

閑話休題。

さて、新しい課題の企画会議の後は、お待ちかね(?)の歌詞レヴューへ。
今回、レヴューを行ったのは、2曲目の課題曲に合わせて書かれた歌詞の2度目のレヴューとなります。

▼総評
1回のリライトでここまで底上げできれば上出来です!
初稿で50点ぐらいだった歌詞が、70点ぐらいのクオリティになりました。
あともう少し底上げできて80点のハードルをクリアできれば、いったん完成扱いとして「○」をつけます。

▼修正箇所について
・1A)に関しては、1行目よりも2行目の方が出来が良いですね。
具体的には、「少しだけ交わす言葉 僕の胸たたいた」というフレーズで出会ったばかりの2人のぎこちなさが表現できているところが素晴らしいです。
それに比べて1行目はシーンが思い浮かべにくいところがあるため、もうひと頑張りしてみましょう。
・1A’)は、ほぼアドバイス通りですが、だいぶ底上げできたかと思います。
 時系列を細かく言うと、お祭りにふたりで行った夜に主人公が恋心を自覚したとしたら、その時点ではまだ友達付き合いであった可能性が高いので、1行目の「手を繋ぎ」という表現は時期尚早かなと思います。
・1C)2行目の「二人で描く 僕らのdestiny」については、どちらかと言えば、彼の気持ちの方が先行していると思うので、交際の進捗を考慮すると「二人で描こう 僕らのdestiny」の方がベターかと思います。
・2A’)の1行目「まっすぐな君の言葉 心励ますから」のフレーズで、相手のどこが好きなのか、きちんと表現できているところが良いです。
 これは、ラブソングの歌詞ではかなり重要なポイントなので、今作以降も続けてください。

と、こんなアドバイスをしていきました。
歌詞が完成したら公開しますので、、お楽しみに!以下、「X」での生徒さんのコメントです。

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次回のレッスンでは、本日、企画をまとめた3作目の歌詞のレヴューを行います。
名作誕生を楽しみに、提出を待ちたいと思います。

Power to The Songs!

歌に力を!

「大人のための作詞教室・爽塾」2023年前期のレッスンも8回目を迎え、今回は2曲目の課題曲に書かれた歌詞へのレヴューを行いました。
歌詞が未完成であることも踏まえ、作成中の歌詞は記載しませんが、生徒さんのツイートも交えながら、「どんなアドバイスを行なったのか?」という観点からレヴューの一部をご紹介します。

▼総評
まずは、作詞を初めて3ヶ月で、〆切までにフルコーラスの歌詞が書き上げられたのは大きな進歩でした。現状、順調に進歩できていると思います。
「生徒さんがより確実にスキルアップできるよう、課題制作の数を減らして、『量より質』を重視しよう」というコンセプトでカリキュラムの見直しを図ったことは、今のところ奏功していると感じています。このままの調子で真摯に取り組んでもらえれば、より高いレヴェルで「進歩できた!」という実感が得られるのも遠くはないと思います。

▼歌詞のコンセプトについて
当初、考えていた「クリスマスソング」というコンセプトがそのままという視点で歌詞をチェックしましたが、クリスマスソングらしい描写は一切ないため、「そもそも、クリスマスソングにできるのか?する必要があるのか?」というクエスチョンからレッスンを始めた次第です。
結果、そうでない方向で仕上げることになったので、企画段階でまとめたアイディアを変更したとか、実際書いてみたらうまくいかなかったとか、そのような場合は、その旨を企画書の提出時に申告していただけると助かります。

▼企画段階のストーリーについて
いつもながら、綿密に練られたストーリーは素晴らしいと思います。
ことストーリーのリアリティということに関して言えば、これまで爽塾で学んだ生徒さんの中でも、間違いなく上位にくるレヴェルです。大いに自信を持っていいかと思います。
ただ、歌詞は小説やシナリオではないので、考えたストーリーから、「共感できるエピソードやシーンの描写」を紡ぎ出し、メロディと擦り合わせながら、フレーズをまとめていくということが大切で、それこそが作詞の本質と言えるでしょう。今後の課題として、このことを忘れずにいてください。
具体的には「春にこうした 夏にこうした」と説明口調で書くのではなく、「夏祭りの夜 君の浴衣姿 花火を見上げる横顔が・・・」というシーンを描くことで、リスナーは歌の世界に身を委ねることができるのです。
そしてまた、「こういうことってあるよね」とリスナーが思えるような表現の普遍性と共に大切にしたいのは、テキストの6ページに記載している「ポエムと歌詞の違い」です。具体的には、「イメージしている歌手が自分が書いた歌詞を歌った際、それを聴いたファンやリスナーが本当に共感できるか?」ということも視野に入れてみてください。たとえ、悲しい失恋の歌であっても、歌い手の魅力は損なうことなく、より魅力的に見えるのが理想です。

▼サビについて
サビの中で1番適切と思われる箇所にタイトルをはめて、それは動かさないようにしつつ、覚えやすく歌いやすいサビを模索していきましょう。必要と思えば、現状のサビを全面的にリライトしても構いません。また、タイトルの改題についても同様です。
※テキストの12ページ参照。
  
▼その他
「運命」「奇跡」と言ったドラマティックなワードは安易に使いがちですが、「なぜ、主人公にとって、そのワード(表現)が適切なのか?」という描写がきちんとなされていないと、リスナーの共感が得られません。現状の歌詞がNGということではなく、常にこの点を意識することで、より客観的に作品をチェックできるようになります。

以下に、生徒さんのツイートをご紹介します。


次回のレッスンでは、3曲目の課題曲を聴きながら、どんな歌詞を書くのか構想を練っていく「企画会議」をメインとして、リライトした歌詞のレヴューも行います。

歌詞の成長を楽しみに、提出を待ちたいと思います。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

 
 
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