爽塾ブログ

早いもので、半年間にわたるレッスンも残すところ2回のみ。
過去に教えた中では最も歌詞を書き慣れた、なおかつ作風のはっきりした沢村さんだけに、確かなハーベスト(収穫)を手にして欲しいという思いがあります。
それを叶えるには、教えるこちらが妥協しないこと。沢村さんはプロのライターでもあるだけに、いつにも増して、できる限り、ロジカルにアドバイスすることに注力しています。
ご本人の了解のもと、以下のとおり、レビューの一部を公開します。

※秀逸な表現は青字にしています。


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泥愛 ←読み方不明なので、ルビを入れてください。

作詞:沢村正一
作曲:田村信二

1A)
 初めての口づけに 愛しい熱を初めて知った

1B)
 青い髪と胸のTATTOO ←これは、ヒロインの相手の描写で合ってますか?
 私の身体に刺す月光(げっこう)

1C)
★泥のように 闇に溶けて
 君と混じり合い 沈んでいく
 ずっと孤独だった 私のこと
 顔も声も 傷も痣(あざ)も 愛して ←かなり内向的なヒロインの設定ですが、傷や痣の由来は?


2A)
 夏近いキャンパスで 一人の私気づいてくれた
  「一人」は↑「独り」の方がいいかも?

2B)
  「コミュ障なの? 俺も一緒」
  遊びも本気も知らぬまま

2C)
  泥になって 君を汚(けが)し
 二人で堕ちてく 心も捨てて
 もう逃げないでね 笑っていて←ヒロインにこう言わせた伏線は?
 顔も声も 滲む血さえ 愛して
 ↑1Cの同箇所と同様の疑問を感じました

3C)
★Repeat

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【総評】

■印象
歌詞の世界観はよくまとまっており、普通のアマチュアレベルなら、この作品にあれこれ言う人はいないでしょう。ただ、爽塾はスキルアップの場ですから、以下の通り、底上げが可能なポイントをお伝えしていきます。

■修正希望点
1)タイトルについて
造語かと思いますが、読み方は「どろあい」ですか? 
「どう読むんだろう?」と思う人が大半かと思いますので、ルビを入れてください。タイトルとしての可否ですが、仮に「どろあい」と読むとして、そのまま歌詞に入れても意味が分かりづらいところが今ひとつかなと思います。同様のストーリーの小説であれば問題ないのですが、歌詞の場合、1コーラスなら1分ちょっとで歌が終わってしまうため、それまでにリスナーにインパクトを与える、要は少しでも印象に残るかが勝負です。それを踏まえて、「テーマは変えずにタイトルを改変」することができるか、ぜひトライしてみてください。

2)サビのディテール
1Cの4行目に「傷も痣(あざ)も愛して」とありますが、企画書で設定されたヒロインのキャラだと「ほぼ引きこもり」状態なので、微妙な違和感を感じます。2Cの「滲む血さえ」という表現も同様で、いずれも、この恋に出会うまでに、そこそこ壮絶な人生を歩んできた人間でないと、今ひとつフィットしない感じがするのです。それよりもむしろ、まったく恋愛音痴で男性に免疫のない女性が初めて男性を知ることの恐れやドキドキ感、気持ちの昂まりなどをここで表現する方が当初の企画に見合う歌詞になるかと思います。2Cの3行目の「もう逃げないでね 笑っていて」という表現も、前項同様、企画書のキャラ設定から微妙にずれている気がします。こう言うからには、過去の恋愛で相手に逃げられた経験があるのだろうと思うのが自然ですし、相手に「笑っていて」と懇願するなら、辛い恋の果てに(本作に描かれた)新しい恋に出会ったことを示唆しているように思われてなりません。企画と歌詞との間にズレが生じたのは、前回のレッスン後に年齢設定などについて私が再考を促した影響もあるのかもしれませんが、せっかくまとめた企画ですので、企画に添ってリライトをお願いします。ライターの仕事もされている沢村さんに分かりやすくお伝えすると、企画書にまとめた内容はライターの仕事で言えばクライアントからの発注内容のようなものです。「こういう趣旨の企画に添って、〇〇の紹介記事を書いてください。○月に公開するので、季節感を踏まえたライティングをお願いします」という指示であれば、そのオーダーにフィットするようにテキストをまとめていきますよね。ここでの企画の起案者は自分自身ですが、自分でまとめたアイディアを第三者からのオーダーだと捉えると、企画と歌詞の乖離や微妙なズレが防げるように思います。

>沢村さん
 爽塾で書いていただいた歌詞、いずれも世界観がしっかりあって力作揃いです。
 ぜひとも完成させてくださいね。
 リライトした歌詞の提出もお待ちしています!

Power to The Songs!
歌に力を!


 

昨秋スタートした講座もあっと言う間に10回目のレッスンとなりました。
今回は「ちょっと翳りのあるメロディーに沢村さんがどんな歌詞をつけるのか?」と思っていましたが、「ハマり過ぎるのもちょっと怖いかも?」みたいなドキドキ感もありました(笑)。届いた歌詞は予想を超える問題作(?)でしたが、これもまた沢村さんの意欲の現れと受け取っています。
よくよく聞いてみると、沢村さんはライターのお仕事の締め切りに追われる毎日のようで、多忙な日々の中で課題に取り組んでくださっていることにこ敬意を表します。
ご本人の了解のもと、以下のとおり、作品レビューの一部を公開します。

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ウソノボウリョク

作詞:沢村正一
作曲:田村信二 ←必ず入れましょう

1A)
 ヘラヘラすんなよ ずっと騙してたくせに
 「愛(あい)してる 愛(あい)してる 愛してる」いまさら聞き飽きた


1B)    フレーズの切目なので、◆↓の箇所に全角スペース推奨  
 限られたこの時間 無駄にしただけ早く消えてくれ

1C)
★愛は残酷(ざん こく) ウソノボウリョク
 二人の子供 笑う女 
 愛の残骸(ざん がい) 全部捨てるわ
 2度と○○顔見せるな ●●●●
 ○の箇所、二文字分字足らず。●の箇所、ポップミュージックの歌詞ではいわばNGワードなので、要リライト


2A)
 ピアスもティ ファ ニーも全部あの女(おんな)と同じ
 までの愛(いと)しかった想い消え去った ○の箇所、字足らず?

2B)   多少読みづらいと思われるワードには、ルビを。
 「あいつとは別れるよ」そんな戯言(ざれごと)で逃げるつもりなの?           

            ↑ココ、字余りかと思いますので、要アンダーライン。
2C)
 愛は残酷(ざん こく) ウソノボウリョク
 二つの影が 重なってゆく 
 愛の残骸(ざん がい) 全部燃やすわ 
 2度目はもうないよ ●●●●  ←の箇所、字足らず

3C)
★Repeat


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【総評】

■印象
1)全般に表現がエグいですね。意欲作だと思います。採点するなら、70点くらいでしょうか。サビの完成度も悪くないです。


■修正希望点
1)タイトルにもなっている「ウソノボウリョク」というワードに関して言うなら、「ボウリョク」という言葉と対になるような、相手の嘘にヒロインが傷ついたトラウマの描写が欲しかったかなと思います。
あと、怒りがマックスになっているヒロインの心情は理解できますが、伏せ字にした箇所のワードは、歌い手が誰であれ、ポップミュージックの歌詞には不向きですので、それを公共の場で歌う、ラジオで流す、ウェブで公開するというのは、メジャーデビューしているアーティストであれば難しく、なんとも微妙な感じは拭えません。
大前提として、ポップミュージックの歌詞は「歌い手を魅力的に見せる」ミッションを背負っているので、「愛する人に裏切られ、単に怒りをぶちまける」だけでなく、テーマが怒りであっても、聴き手に何かしらの示唆やら気づきをもたらしたいところです。
例えば、以下の要素を歌詞に滲ませることで、ストーリーに深みが出るはずです。
・相手の男性の奥さんに向けての「あなた、(誠実なふりをした)旦那さんに騙されてますよ」的な思い
・一定期間、相手に騙されていても気づかずにいた自分への憐憫、哀れみの感情
・自分だけでなく、家族をも騙している相手の罪がいずれ因果応報となることへの期待など
 
2)繰り返しになりますが、企画の段階で必要なのは、以下の点です。
「できるだけ登場人物のディテールについて想いを巡らせ、それを言語化していく」こと。これを地道にやっていくことで、歌詞により深みを持たせるためのストーリー展開への糸口が見つけやすくなります。


■構成、表記ルールなど
1)赤字参照のこと。
 字足らずと思われる箇所、思わず自分で直しそうになりましたが自粛しました。いずれの箇所も、造作なく直せるかと思います。
 
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>沢村さん
インパクトの強さということで言えば、過去にレビューしたアマチュアの方の歌詞の中では出色の出来だったかもしれません。
ぜひとも仕上げてください!

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歌に力を!


 

 

今回の課題曲はメロウなバラード。
どうやら、スイートでない作風らしい(笑)沢村さんがどんな歌詞を書くのか、楽しみにしていました。
以下のとおり、レビューの一部を公開します。
※秀逸な表現は青字にしています。

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Dystopia Love Romance

作詞:沢村正一
作曲:田村信二  

1A)      半角でなく全角スペース推奨。以下、◆の箇所は同様
 地下室のBAR退屈なデカダンス
 パーティーは終わらない君はどこにいるの?

1A’)    
 Welcome to Babylon いま逢いたいすぐ逢いたい
 安物スピーカーが歌うCan’t Help Falling In Love  

1B)                       改行、2Bと同じでOK↓
Dystopia Love Romance Dystopia Love Romance
 満ちて欠ける月のように 
 愛が生まれ愛が死んでく キスの甘さだけ残して

                                                                                                                                                                  1C) CはB(サビ)の一部という解釈で、この行と上の行のスペース不要。2番も同様。
 夜(よる)の虹追いかけてく 朝が来るまでの夢 
 でも君を今も待ってる君と違う人と待っている  
           
2A)
「あいつなんかより俺の方(ほう)がいいだろう?」
 そうだね本当はわたしもわからない
  
2A’)
 そばにいないと全部夢で全部嘘で
 ぬくもりだけはまだそばに感じるのに


2B)
 Dystopia Love Romance Dystopia Love Romance
 寄せて返す波のように 
 愛が生まれ愛が死んでく キ
スの苦さだけ残して


2C)
 夜の虹追いかけてく わたしを連れ出してよ
 窮屈なDystopiaから ロマンティックな世界連れ出して


3B)
★Repeat

3C)          
 夜(よる)の虹追いかけてく君と二人で行こう
 ほら朝が二人待ってる二人だけを朝が待っている


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【総評】

■印象
1)いつも通り、歌詞全体の世界観は揺るぎないものがあるのが魅力です。メロディにフィットした秀逸な表現もいくつかありました。サビの完成度を上げようと毎々言っていますが、その点においては前作よりはるかにクオリティが上がりましたね!
2)底上げできる伸び代は、企画書にあるテーマから微妙にズレている歌詞のテーマを描き切るという部分かなと思います。
3)採点するなら、75点くらいでしょうか。以下の課題をクリアすれば、1回のリライトで完成できそうなレベルです。ぜひ、仕上げてください!

■修正希望点
1)以前も言ったように、曲の第一印象をまとめた企画の骨子自体に優劣はありません。
「爽塾」は歌づくりのスキルアップの場ですから、ある曲を聴いたAさんが「悲しい歌」と思い、Bさんが「多幸感あふれる歌にしたい」と思おうが、各人の思うがままに歌を作れば良いのです。ですから、レッスンの初期の段階から「この曲からハッピーエンドのラブソングを作れ」といった強制(発注)をこちらからすることはありません。皆さんに爽塾でまず身につけてほしいスキルは、思いついた企画、テーマをきちんと歌詞に落とし込むことですから、企画の段階で必要なのは以下の点です。
 ・登場人物のキャラクターや周辺の小道具について、できる限り詳細に考えること
 ・歌詞のテーマをできるだけ明瞭な表現で言語化していくこと
2)書いているうちに企画した内容と微妙にズレてくることは往々にしてあることなので、そのこと自体に是非はありません。ただ、「あれ、最初に思いついたのと違ってきたな」ということには気づいたうえで、アップデートされた企画をきちんと描き切ることが大切です。
本作の場合で言うと、企画書で描かれたヒロインは「行き当たりばったりの一夜の情事を繰り返す」という印象でタイトル通り退廃的な性格で、それを肯定しているのかと思っていました。
歌詞を読むと、決してそうでないことがみてとれます。ですので、企画内容と実際の歌詞がズレてしまった場合は、お手数ですがズレた箇所を修正した企画書を歌詞と共に再度ご提出ください。
※歌詞から読み取ったテーマは企画書のフィードバックに記載しましたので、それに従って、指定した箇所を(またはそれ以外の箇所も)修正してください。

■構成、表記ルールなど
1)B)とC)の冒頭のメロディが同じですので、B)C)を合わせて一つのサビと考えるのが正しいと思います。1B)を1Sabi)と表記しても構いません。
2)スペースが必要な箇所にスペースがなかったり、(何かの手違いかもしれませんが)スペースが半角だったりした箇所は全角にしてください。

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>沢村さん
これまでに書いていただいた歌詞、いずれも世界観がしっかりあって力作揃いです。
ぜひとも完成させてくださいね。
リライトした歌詞の提出もお待ちしています!


Power to The Songs!
歌に力を!


 

 

さて、課題曲への作詞も3曲目。
今回は、短いながらも美しいメロディのミディアムテンポのナンバー。
尺が短いだけに、無駄な表現を省き、表現したいテーマを凝縮して言葉に託したいところです。
今回も、たぶん根っからのバンドマン(?)、沢村さんの歌詞に行ったレビューの一部をご紹介します。

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恋はすばやく愛はゆっくりと
※原題:Sunset

作詞:沢村正一
作曲:田村信二

1A)
 午前4時の街 二人寄り添って
 パーティーを抜け出して はじめてのキス

1B)        ↓複数の読み方があるワードは要ふりがな
 恋はすばやく 夜(よる)を染めてく
 君のコート 包ま/れたまま  ←音節の切れ目変えたい

1C)
 まだ誰も知らない 雪を見てた


2A)
 あれから1年 同じ屋根の下
 飲みかけの紅茶(こうちゃ)と シャツの匂い

2B)
 愛はゆっくり 夜(よる)に染み込む
 君の胸に 抱きし/められて   ←音節の切れ目変えたい

2C)
 なんとなくつけてた テレビ見てた


3B)
 恋はすばやく 愛はゆっくり   ←1番、2番のサビ頭もこのフレーズで!
 夜の中に 滑り込んでく

3C)
 わたしだけ知ってる 君を見てる
 

 

【総評】
曲の構成の解釈に関して言うと、解釈が三者三様でした。
作曲者が譜面上で指定したものは絶対的真実ですが、それ以外の場合は、作詞家の判断任せというところはあります。この曲の場合は、洋楽によくある「A-B-A-B」という解釈が無難で、この作品で言うと、CはB(サビ)の一部という解釈で良いかと思います。

■印象
▼生活感のある描写はさすがですが、採点するなら、少々厳しめですが、55点くらいでしょうか。

■修正希望点 
▼この曲に関しては、尺の短さというハードルがありますので、リライトする際は、3番の歌詞をAメロも含めてフルコーラスの長さにしてください。
▼サビに関しては前作ほどの完成度はなかったですが、以下のとおり、底上げは可能です。
サビの1行目を展開させるのではなく、3Bの1行目のフレーズをすべてのサビに使い、企画書にある「なんてことのない日常だけどかけがえのない日々」のニュアンスを反映したフレーズをうまく絡めてサビを再構成してください。
要は、テーマを象徴したタイトルとほぼ同じフレーズを、1番2番と展開させてしまうと、1番のサビを聴いた時と2番のサビを聴いた時で違う歌のように聴こえてしまうという可能性も出てきます。そうではなく、歌詞全体のテーマを集約したサビを作ることで、歌詞のテーマがより明快にリスナーに伝わるようになります。
 ※ぶっちゃけ、修正後に同じサビを3回繰り返せるなら、ハードルをクリアできた証明かと思います。
▼ラブソングの歌詞にあればリアリティの向上につながる、以下のような要素を(例えばCの箇所に)入れてみてください。
 ・彼女から見た彼の魅力はどこなのか?
 ・どこに惹かれて、彼と恋に落ちたのか?

リライト後の再提出を楽しみにしています!

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レビューを終えた後、4曲目の課題曲を試聴していただき、歌詞の企画を練ってもらいました。
今度の曲は少々の寂寥感もあるバラード。
爽塾では、歌詞の企画を立てる際、ひとつの仮定として「どんなシンガー、アーティストが歌うのか?」を決めてもらっていますが、寂しげなメロディ、悲しげな楽曲であったとしても、歌い手の魅力が引き立つ、ファンの共感を呼ぶ歌詞に仕上げてほしいところです。

受講生の皆さんの新作を楽しみに待ちたいと思います。


Power to The Songs! 
歌に力を!

 



2曲目の課題曲は、弾むようなポップナンバー。生徒さんたちからどんな歌詞が提案されるか、楽しみにしていました。
開講前のカウンセリングの際、このクールの受講生の中では作詞の経験値がある沢村さんは「ふだんは男性ボーカルのバンドで作詞をしているので、違う世界観の女性用の歌詞を書きたい!」と言っていただけに、期待感はなおさら。
どんな歌詞が提出されたかと言うと、「アイドル・ポップス」になるのが自然に思える曲調に対して「アイドル」という正攻法のタイトル。読む進めると、「ヒロインの憧れのアイドルは、応援している(アマチュア)バンドのメンバー」という、なかなか渋い設定でした。
以下、沢村さんの歌詞に行なったレビューの一部をご紹介します。

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アイドル

作詞:沢村正一
作曲:田村信二

1A)
 光が闇に砕け散る 涙が頬を引き裂いて  
 うねる波のように 熱狂(ねっ きょう)は繰り返す ココで改行。2Aも同様
 今もまだそばにいるみたいに  

1B)
 声と指先と ノイズ混じりのギター  ココで改行。
 汗の匂い 遠い雲の彼方  

1C)
★いつだって夢中(むちゅう)だった あなたに夢中(むちゅう)だった 
 わたしのアイ ドル キラキラな衣装(いしょう)を纏って 
 何度(なんど)も言わせてよ 「好き」って言わせてよ 
 もう逢えないの 知ってるわ  

2A)
 彼氏の車の助手席(じょ しゅせき) 何度も聞かされたロックンロール 
 空は晴れるのに 想いは募るのに 
 あの日からあなただけいないの 
 
2B)
 今も元気かな? ギター弾いているかな?  ココで改行
 くわえタバコ かすむ夜の彼方 

2C)
 いつだって夢中(むちゅう)だった あなたに夢中(むちゅう)だった 
 わたしのアイドル ギラギラなスポット ライト照らされ 
 何度(なんど)だって言うわ 「好きです」って言うわ 
 楽しかった ありがとう 


3C)
★Repeat

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【総評】

■印象
▼サビの完成度がグッと上がってレベルアップした感があります。以降もこれをキープしてください。
▼点数をつけると、70点くらいでしょうか。次項に記載した疑問点を底上げして80点オーバーすれば、「完成」扱いになりそうです。

■修正希望点
▼企画書に記載している以下の要素を少しでも歌詞に盛り込めたら、さらに完成度が上がるかと思います。
『永遠はないこと。大切なお知らせはある日突然やってくること。後悔なく生きなくてはならないこと』 
※憧れのギタリストが他界したのでなければ、何かしらの思い出の品を歌詞に入れてみるのも一考かと。
▼赤字のように、適宜、改行する方が良いのは、右半分に余白を残したいためです。そうすることで、レコーディングの際、歌い手が余白にメモを書き込めるようになります。
▼今ひとつ描写が理解できなかった、腑に落ちなかった箇所などはレッスンにて口述しました。
 要は、リスナーが「歌詞の中に描かれた情景や登場人物に関する描写などをスムーズに理解できなかったり、『?』を感じてしまうと、その時点で曲を聴くという行為から脱落してしまうため、必然性のある、よどみなく流れるようなストーリーを提示することが望ましいのです。

この作品のレビューの後、3曲目の課題曲を聴いてもらい、企画を練ってもらいました。次の課題曲は、落ち着いた感じのミディアムテンポのナンバー。たとえば、ジョン・レノンの「イマジン」のような、スタンダードになり得る普遍的的なメロディだけに、作詞家の技量が問われますね。
引き続き、リライトした歌詞の再提もお待ちしてます。3月末の受講期間終了までに、1作でも多く完成させましょう!
 
Power to The Songs!
歌に力を!

 



座学→替え歌制作というプロセスを経て、いよいよ、「田村信二さんの貴重な未発表曲に作詞をしていく」という爽塾のメインコンテンツへと進んでいきます。著作権の関係で課題曲をお聴かせできないのが残念ですが、1曲目の課題曲はゆったりとしたバラードです。

以下、生徒さんの許可を得て、歌詞とレビューの一部をご紹介します。「そもそも、作詞教室の授業って何やるの?」と思われている方はチェックしてみてくださいね。

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曖昧な偶然

 作詞:沢村正一
 作曲:田村信二

1A) 
 エキナカのカフェで 頬杖ついてる 今日も 
  冷めてく紅茶  
 黄昏の街は オレンジから青 熱を    ←1Bの歌詞に繋がる要因を描きたい
 塗りつぶしてゆく  ←字余りでは?  

1B)
 夜中のCallも 突然のキスも  ← Callはカタカナ表記推奨。
 わたしだけが 本気にしていたみたい ずっと 

1C)
 曖昧な偶然 あなたが見てたものは ←1文字、字足らず? 
 私じゃない よく笑う子  
 残酷な戯言(たわごと) 「明日(あした)も会いたいな」 ←要フリガナ。
 彼氏のフリ 彼女の真似  
 わかっていたはずなのに  

 2B)
 愛は何回も 恋は一回も 
 確かなもの 何一つなかったのに ずっと 

2C)
 曖昧な偶然 繰り返してみても  
 必然には ならなかった 
  味のない紅茶と 色のない思い出と ←1文字、字足らず? 
  Callしても キスをしても 
 二人はずっと 偶然  

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【総評】
1)印象
▼企画書では「別れ」の場面を設定していて、「片思い」というテーマも記載されているのですが、それらしき表現はなく、そこまでを描写するのに尺が足りなかったような印象です。せっかく思いついた企画ですから、リライトしつつ、完成に近づけていきましょう。
前提条件として、こちらのチェックポイントの6割程度をクリアしていれば、企画を設定した時点で皆さんの企画に優劣はありません。しかしながら、「いかにその企画を歌詞に落とし込むか?」ということが爽塾で学ぶことの意義でなので、そこに注力していきましょう。今回の課題曲で言えば、サビのメロディの盛り上がりどころがファルセットも使いつつ歌われている事実をくみ取り、例えば「別れに感じる切なさ、うまくいかなかったことへの悔しさ、悔恨」のような、感情の起伏を感じさせる表現が欲しかったです。

2)修正希望点
▼こちらの指示漏れなので申し訳なかったのですが、サビのパートはもう1回追加(計3回)して書き足してください。
▼前回に比べると、サビの強度は若干上がった感がありますがま、だまだインパクトが弱いので、「もし3回あるサビがすべて同じフレーズなら」と仮定して、テーマのすべてをそこに集約するイメージでサビを再考するといいかもしれません。
リスナー目線でもっと知りたい、聴きたい内容を挙げてみると、
 ※偶然出会ったふたりは、どこでどんな風に出会ったのか?
 ※片思いだったヒロインは、相手のどこに惹かれていたのか?
 ※うまくいかなかった原因は何なのか? どこでどう歯車が狂って、それをどう捉えているのか?
 ※「形だけの恋愛ごっこはもうやめよう」と思い至ったきっかけ、要因は何なのか?
 ※この関係を終わらせて、ヒロインはどうしたいのか? 恋愛に至らず終わってしまった、この関係はどんな位置付けなのか?
▼テキストに記載がないですが、ポップソングの宿命、命題として、「できる限り、歌い手を魅力的に見せる」ということがあります。この作品に当てはめてみると、無理にハッピーエンドにしろとか、無理にポジティブなラストにしろということではなく、「あぁ、こういうことってあるよね」的な共感をリスナーの心に喚起させることができれば望ましいので、そこを目指しましょう。

その他、いくつか参考になるヒット曲の歌詞などもご紹介しました。

次回取り組む課題曲は楽しげなアイドルポップスなので、「男性ボーカルの自分のバンドでは男くさい歌詞にせざるを得ないので、まったく別ジャンルにトライしたい」とおっしゃっていた沢村さんの念願がかないますね! 今回講評した「曖昧な偶然」のリライトも折を見て取り組んでみてください。再提出、待ってます!

Power to The Songs!
歌に力を!
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 

 

※課題曲をご提供いただいている田村信二さんの還暦記念に開催された「タムフェス」の動画を貼っておきます。ポップなメロディの数々がきらめくようにステージで弾けます。

5回目のレッスンでは、前回の課題「替え歌制作」の講評を行いました。
ご自分のバンドの作詞担当である沢村さんはさすがに書き慣れてますね。

今回は歌詞そのものは公開しませんが、主にアドバイスした点は以下のとおりです。

【総評】
 ■印象
 ・全般に生活感のある大人の恋を描く描写についてはさすがのクオリティでした。

 ■修正希望点
 ・今後の課題として、タイトルを効かせること、覚えやすさ、歌いやすさの観点からサビの完成度を上げることに注力してください。
 ・歌詞の中で「花」を小道具に使う際は、開花時期、色合い、花言葉に留意してください。
 今回の歌詞ではいずれも事実と歌詞の内容がフィットしていないように思われます。

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講評を行った後、いよいよ取りかかる課題曲の歌詞制作の1曲目のデモを30分ほどリピート視聴していただき、どんな歌詞にするのかを発表してもらいました。

歌詞の仕上がりが楽しみですね。ワクワクします。

Power to The Songs!
歌に力を! 

 

さて、レッスンの4回目となりました。座学が続いているので、受講生の皆さんは自作の歌詞の講評が早く聞きたいとは思いますが、もうしばらくお待ちくださいね。
今回はまず、歌詞をワードのファイルにとりまとめる際のルールなどについてお話ししました。主な項目は、以下のとおりです。

9)表記上のルール、その他
 ① 企画書表記上のルール
 ② 歌詞表記上のルール
 ③ ファイル名について

加えて、テキストに記載はありませんが、このクールからの新しい試みとして、取り組む「替え歌制作」についてお話ししました。
言わば、本格的な課題制作に取りかかる前のウォーミングアップ的な位置付けですね。
替え歌制作には、次のように作詞のスキルアップに役立つ要素がいくつかあるのです。

1)完成した歌詞を参考にできるため、メロディ、フレーズの聴き取り、把握に手間がかからない。
2)完成した歌詞を参考に、歌詞のテーマを設定しやすい。
 例)原曲のアンサーソングを作る、ストーリーの時系列を前後させる、まったく真逆のテーマを設定する etc・・・。

曲先作詞の練習法として、おすすめできる「替え歌づくり」ですが、採点の基準は、この後で取り組む課題曲への作詞とまったく同じです。
ただ、替え歌の場合は原曲の歌詞が存在する以上、どちらかと言えば、元の歌詞からテーマや世界観などが離れている方がポイントが高いかもしれません。とは言え、それは口で言うほど簡単ではないので、制作のヒントとして、「元の歌詞に対するアンサーソングを作る」というアプローチなどもおすすめしました。

さて、どんな歌詞が寄せられるのか、楽しみにしています!

Power to The Songs!
歌に力を!


3回目のレッスンとなる今回は「作詞法(2)〜作詞の実際〜」というテーマでお話ししました。
主な項目は、以下のとおりです。

04. 作詞の実際

1)サビの歌詞の作り方
  ①サビの条件とは?
  ②プロセス

2)Aメロの歌詞の作り方

3)Bメロの歌詞の作り方

4)その他のパートについて
 特にブリッジの扱いについて、重要ポイントをお伝えしました。

5)2番以降への展開について

6)タイトルの重要性

7)グレードアップのための工夫あれこれ
 ・英語のフレーズを効果的に使う
 ・セリフを効果的に使う<
 ・ 字余りの実際と功罪

8)チェックとリライト
 ① チェック 
 ② リライトと仕上げ

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次回は、課題曲に取り組む前の肩慣らしとして、新しい取り組みの「替え歌づくり」についてもふれていきます。

Power to The Songs!
歌に力を!

写真は所沢駅東口ロータリーに鎮座する猫バスとトトロさま。
※自宅発信のオンライン講座につき、家の近所の写真を載せています。

 



レッスンの2回目は、「作詞法(1)〜作詞概論、企画・着想〜」というテーマでお話ししました。
主な項目は、以下のとおりです。
 
02. 歌づくりのその前に 〜作詞概論〜
1)名曲の条件とは?
2)ポエムと歌詞の違い
3)詞先と曲先
4)曲先作詞のプロセス
 ①企画、着想
 ②曲を聴く
 ③書く!
 ④校正 
 ⑤仕上げ
 
03. 企画・着想
1)なぜ、このプロセスが大切なのか?
2)このプロセスを重要視する意味とは?
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
ざっくりと、明かせる部分を記載しました。
まだ企画立案や作詞の実技に入っていないため、歌詞を書き慣れた生徒さんには物足りない部分があるかもしれませんが、何かしらの発見があればうれしいです。次回の「Lesson.03」では、作詞のハウトゥのさらに突っ込んだ内容になります。
 
Power to The Songs!
歌に力を!

※写真は、所沢駅東口ロータリーに鎮座するトトロさま。
 人知れず、ひっそりといった風情ですが、お気に入りスポットです。

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